2022-03-07
在宅避難と長期・大規模停電の防災対策実態調査「“電気依存”自覚も、停電対策不足」浮き彫りに
「電気依存度100%」自覚は約4割も、
「防災対策は長期・大規模停電を想定していない」が全体の半数以上
伊藤忠商事株式会社の次世代蓄電システム「SMART STAR」は、全国25歳以上の男女1,000名を対象に「在宅避難と停電」をテーマとした調査を実施しました。近年の自然災害が引き起こす長期・大規模停電被害が増加している背景から、「SMART STAR」では防災対策としてご購入、お問合せをいただくケースが増えております。お客様が抱える不安の中には「避難所の収容人数が不足している」という全国的な課題もあり、本調査では「避難所へ行くことに躊躇する」と感じている方々を対象としました。
TOPICS
20,000人を対象とした事前調査では、「避難所へ行くのに躊躇する」人は74.4%となりました。「プライバシーや衛生面」「高齢者、幼児、ペットとの同居」が理由に挙がっています。本調査は、こうした回答者から1,000名を抜粋して実施しました。電気に依存した生活を自覚しながらも多くの方が停電時の対策は不足しており、「在宅避難」と「停電」の対策は、切り離して考えることが出来ないことが分かります。
防災対策
- 約8割(77.9%)の人が何かしら「防災対策」をしているものの、自然災害時及び長期・大規模停電時の行動シミュレーションを「今までしたことがない」人は全体の約65%
- 「防災対策は長期・大規模停電を想定していない」は半数以上
電気依存の実態
- 「電気依存度100%」を自覚しているのは約4割(38.3%)、80%以上も含めると約7割(69.5%)
- 夏や冬の停電、自身・同居家族は空調が使えない場合、「1日(以内)で体調を崩す」6割超
長期・大規模停電に対する意識
- 停電時使える状態にしておきたいのは、消費電力の大きい「冷凍冷蔵庫」「空調・季節家電」
- 停電の備え、「足りない」約8割(81.1%)、「長期・大規模停電を想定していない」約5割(51.4%)
- 戸建住宅丸ごと一軒分の電力をカバーできる家庭用蓄電池、「検討したい」は約4割(37.2%)
監修:高荷智也氏(防災アドバイザー)
「多くの方が“在宅避難予備軍”になっているのが実態」「停電対策は選択肢が増えている」
2018年の北海道胆振東部地震、2019年の令和元年房総半島台風では長期・大規模停電が、さらに昨冬、今冬は記録的な大雪で広い範囲で交通網や電力などのインフラがマヒするなどの被害が発生ました。一方、東京・大阪・名古屋をはじめとする各都市では、避難所の定員は多くても2割強と少なく、多くの方がいわば「在宅避難予備軍」となっているのが実態です。在宅避難にはインフラの確保が欠かせませんが、近年の災害では度々大規模な停電が生じたり、今後想定されている大規模災害でも多くの場合で停電の可能性が指摘されたりしています。近年では水やカセットボンベによるガスの備蓄に加えて、電気そのものを貯めておくことが行いやすくなっています。停電対策の選択肢が増えている昨今においては、こうした各種対策の道具や設備の認知拡大と一般家庭への普及が求められていると言えるでしょう。
※「在宅避難」…災害時、倒壊や浸水、土砂崩れ等の危険性がなく身の安全が確保された場合には、そのまま自宅で生活を送ること。
防災対策は約8割が実施しているが、災害時の行動シミュレーションは「全くしていない」
防災対策を全くしていない人は22.1%で、約8割(77.9%)の人は何かしら対策を講じています。防災対策は災害時の行動シミュレーションをしてこそ具体的な対策が見えてくるものですが、実際にはほとんどされていないようです。「買っておわり」「準備しておわり」とならないよう、家族や友人と話し合い、最適な防災対策を講じることが重要です。
Q.あなたがしている防災対策は?(MA/n=1,000)
Q.災害が起こった時の行動シミュレーション頻度について(SA/n=1,000)
Q.あなたの防災対策は、「長期・大規模停電(最低2日間)」を想定していますか?(SA/n=1,000)
防災対策、目的や具体的なケース(場所、期間)が不明瞭な人も
全国的にも避難所は不足しており、自宅が損壊した人や帰宅出来ない人が優先となります。車中泊は長くなるとエコノミークラス症候群のリスクもあり、多くの方が在宅避難を想定して準備をしておくことが大切です。
Q.あなたの防災対策/準備の目的と、想定しているケースについて(SA)
「電気依存度100%」自覚は約4割、夏冬は空調使えず「1日(以内)で体調を崩す」6割超
1日の起きている時間(活動時間)の8割以上で電気を使用している人は全体の約6割(64.2%)です。自覚している電気依存度も同等に高く、100%と回答した人は約4割(38.3%)にもなりました。80%以上も合わせると約7割(69.5%)にも上ります。また、停電で空調を使えない場合「1日(以内)で体調を崩す」は夏冬ともに6割を超え、依存の深刻さが分かります。
Q.あなたの「電気依存度」は?(SA/n=1,000)
※右グラフ「電気使用時間の割合」:睡眠時間を除いた1日の活動時間から電気を使用する時間(冷凍冷蔵庫、家電待機電力は含まず)の割合を算出
Q.自身・同居家族(ペット含)は、空調が使えない場合どのくらいで体調を崩す人が出る?(SA/n=1,000)
長期・大規模停電時に使いたいのは、消費電力が大きい「エアコン」「冷凍冷蔵庫」
停電時に使いたいのは「トイレ」「スマホ/携帯の充電」「エアコン」「冷凍冷蔵庫」が上位にあがりました。こうした機能を全て使うには現在の停電の備えが不足していながらも、「具体的な対策が分からない」「具体的に長期・大規模停電をイメージ出来ない」というのが実態のようです。
Q.長期・大規模停電時(最低2日間)の際、「最低限使える状態にしておきたい」のは?(MA/n=1,000)
Q.停電のための備えは、足りると思いますか?「足りていない」理由は?停電の備えが「足りていない」理由(MA/n=979)
まるごと一軒分の電力をカバーする家庭用蓄電池、検討したい人は約4割にも
一戸建住宅丸ごと一軒分の電力をカバーできる大容量家庭用蓄電池については、「検討したい(検討してみたいと思う・少し検討してみたいと思う)」が約4割(37.2%)となり、「検討してみたいが住まいの環境により難しい」の15.8%と合わせると半数を超えます。停電時の対策として家庭用蓄電池はこれから注目を集めていきそうです。
Q.在宅避難を想定した時、「家庭用蓄電池(設置型)を検討してみたいと思いますか?(SA/n=1,000)
ご参考:20,000名対象事前調査結果「避難所へ行くのを躊躇」74.4%
Q.避難所(避難場所)に「行きにくい」「躊躇する」と感じますか?(SA/n=20,000)
Q.避難所(避難場所)に「行きにくい」「躊躇する」と感じる理由は?(MA/n=20,000)
調査概要
在宅避難と長期・大規模停電の防災対策実態調査
調査方法:インターネット調査
調査機関:2022年2月18日(金)~20日(日)
調査対象:全国25歳以上の男女1,000名(避難所へ「行きにくい」「行くことを躊躇する方)
監修:高荷智也氏(防災アドバイザー) コメント全文・注目する結果
避難所の定員は不足しがちで、誰もが潜在的な「在宅避難予備軍」
災害時に「避難所へ行けばなんとかなる」と思っている方は少なくありません。しかし東京・大阪・名古屋をはじめとする各都市では、避難所の定員は多くても2割強と少なく、多くの方がいわば「在宅避難予備軍」となっているのが実態です。
特に、大規模災害時には「避難所へ入りたくても入れない」「物資をもらおうにも備蓄が足りない」という状況が多く想定されるため、インフラの回復を自宅で待つための準備、十分な備蓄品の用意などが不可欠となります。
避難所へ行きたがる人はいない一方、目立つ在宅避難の準備不足
「避難所へ行きたがらない」人が多い一方、避難所へ行かないための対策として重要な自宅の地震対策を積極的に行っている方は3割以下、食料・水・日用品などを積極的に備蓄している方も半数少々、ライフラインの停止備えている糧も4割以下と、避難所は行きたくないが自宅に留まる準備も万全とは言えないという方が多いのが現状です。
生活の多くを電気に依存しつつ、停電対策はまだまだ不十分
本調査によれば、1日以上の停電に耐えられると考えている方は昼も夜も半数に満たない一方で、停電発生時の行動や準備について考えたことがある方は、全体の3割程度であったりと、「停電したら困るが、具体的な対策は未定」という方が多いのも現状です。
家庭で準備している停電対策用品としても、懐中電灯や乾電池こそ半数以上の方が保持していますが、発電機、モバイルソーラーパネル、ポータブル電源や蓄電池など、「電気そのものを溜めたり作ったりする道具」を保持している家庭は1割以下となっています。
Q.あなたの「停電対策は?」(MA/n=1,000)
近年進歩している停電対策に対する選択肢が、まだ認知されていない
- 物理的に溜めておける飲料水や、カセットガスボンベなどの選択肢があるガスなどと異なり、電気そのものを貯めることは、従来乾電池を用いる程度しか手段がありませんでした。
- 最近では蓄電池の性能向上により、小型モバイルバッテリー、大容量ポータブル電源、住宅用蓄電池などが実用レベルになっていますが、こうしたものを実際に持っている家庭は少なく、また興味関心のレベルもまだ低い状況です。
- 停電対策の選択肢が増えている昨今においては、各種の道具や設備の認知拡大と一般家庭への普及が求められていると言えるでしょう。