2019-10-15

蓄電池の設置場所はどこが適切?

# 蓄電池の基礎知識

太陽光発電システムと併用されることも多い家庭用蓄電池ですが、意外にサイズが大きく、重量もあります。設置にあたっては当然工事が可能なスペースが必要ですが、同時にメンテナンスできる作業スペースの確保も必要です。他にもメーカーによってさまざまな設置条件、設置環境が定められていて、これらを守らないと故障・劣化のリスクが高くなってしまいます。蓄電池の設置場所を選ぶときのポイントについて解説します。

蓄電池を不適切な場所に設置するリスク

家庭用蓄電池には「屋内設置型」と「屋外設置型」があります。多いのは屋外設置型で、一般的には蓄電容量が6kWhを超える製品の場合はほとんどが屋外型です。

屋外に設置する理由は、蓄電容量が大きければそれだけ本体のサイズも大きくなり、設置スペースが必要になるからです。また室内だと運転音が気になるという問題もあります。(屋外でも周辺環境によっては反響して運転音が気になる事もあります。)

しかしながら、屋外は環境によってさまざまな悪条件が伴うことがあります。詳しくは後程説明しますが、基本的に極端な高温や低温、高い湿度などは避けなければなりません。製品ごとに設置条件が定められており、これを守る必要があります。

仮に蓄電池を不適切な場所に設置してしまった場合、メーカー保証の対象外となる可能性があります。また、故障や早期劣化の原因にもなりかねません。そのため設置の際は、販売店・施工店に事前の現場調査を依頼するのが鉄則です。
自宅に設置にふさわしい場所があるかどうかを確認し、その上で導入を進めていくのが正しい段取りとなります。

蓄電池の設置場所の条件

蓄電池を設置するときには、本体の外形サイズよりも大きなスペースを確保しなければなりません。メンテナンスできる空間があり、火災による被害を受けにくい場所に設置するのが基本です。

必要なスペースの目安としてよく言われるのは、「屋内型の場合はエアコンの室外機よりも一回り大きいくらい」、「屋外型の場合はエアコンの室外機を縦に2つ分重ねた場合よりも大きいくらいの空間」が必要というものです。取扱説明書には、具体的に設置のために必要な幅・奥行き・高さ、あるいは本体から何cm分の空間を確保するなどの具体的な数字が記載されておりますので、確認する必要があります。

他にも、屋外設置型の場合で次のような条件が定められています。
※メーカーによって条件は違いますので、ご留意ください。

日射

高温状態に弱い蓄電池ですので、直射日光が当たらない場所、家屋の北面が理想的です。北面が難しければ東西面が選ばれることが多いでしょう。通常、南面はNGです。

温度

極端な高温または低温にならない場所。年間を通じて-10~40℃の範囲を外れる場所には設置不可などとされます。とくに寒冷地では装置が停止するなどの不具合が生じる可能性があります。
※温度範囲はメーカーごとに違います。

雨や水

雨が直接当たらない場所、水はけがよく結露しない場所。水の侵入を防ぐ仕様の製品がほとんどですが、軒などがあればベターです。

塩害

重塩害地区、塩害地区での設置不可(または保証対象外)などの条件があります。メーカーによっては特定の地域では設置できません。

積雪

積雪の少ない場所。基礎を高くする、軒下に設置するなどの対処をすれば設置可能です。

標高

標高1500mを超える場合は設置不可などの条件があります。

その他

可燃物や熱源の近く、ガスの発生がある場所、粉塵が多い場所、高圧電線やトランス付近には設置不可となっていることが多いでしょう。また頻繁な人や貨物の通行がある場所も設置を避けるべきとされます。

なお、室内設置型蓄電池の場合は、空気がこもらず高温多湿にならない場所であることなどが条件となります。また、分電盤や使用したい機器に近いことも条件とされます。

蓄電池の設置時に注意したいサイズ・重さの問題

上記に挙げたような家庭用蓄電池を設置できる条件に見合った場所が見つかったとしても、搬入経路が確保されていないために設置ができない、というケースも意外に多くあります。

屋外設置型の蓄電池は高さや幅が1mを超える製品もあります。一般的に自転車1台を押して入れるくらいの経路があれば搬入可能と言われます。しかし、諸条件によっては搬入経路が確保できない場合は、大きなサイズの製品の代わりに小さめな機種を選ぶことになるかもしれません。この点も業者による事前の「現地調査」が必要です。

また、サイズだけではなく重さが問題になることもあります。屋外設置型蓄電池の平均的な重量は70~250kgです。設置場所によってはコンクリート基礎の打設が必要です。蓄電池の設置工事費は本体が重いほど高くなります。屋内設置型の場合もある程度の床の耐久性が求められます。

屋外設置型では、設置工事以外には配線工事をはじめとする電気工事も行うことになります。電気工事にはサイズや重さはほとんど関係ありません。設置工事と電気工事を合計した工事費は約20~30万円といったところでしょう。

蓄電池を使うことを考えている方、とくに屋外設置型を導入しようと思っている場合は、家屋の周囲に蓄電池を設置できる場所があるかどうか確認する必要があります。蓄電池の導入検討に必要な基礎知識として、設置場所の条件を押さえ、販売店の方に相談すると良いでしょう。

なお、蓄電池(及び太陽光発電システム)導入の全体的な流れについては以下ページを参考にしてください。
参考)蓄電池(スマートスターL)と太陽光発電システムの導入手順【実例で解説】