太陽の光エネルギーを利用して発電する「太陽光発電」。既に設置している家庭では、光熱費の削減効果や売電収入などのメリットを実感し、太陽光パネルの設置枚数を増やす「増設」を検討されているケースも増えています。では、実際に太陽光発電を増設した場合、どのようなメリットがあるのかを見ていきましょう。増設によって買取価格はどのように変化するのかも重要です。太陽光発電を増設する際の注意点と併せて一緒に勉強していきましょう!
太陽光発電の増設
太陽光発電の「増設」というのは、既に設置され売電が始まっているソーラーパネルの枚数を増やすことです。例えば、最初に太陽光発電を設置したときにはその効果が分からなかったため最小限のパネルしか搭載していなかったものの、効果を実感してパネルを新たに追加するケースや、隣接する空き地やカーポートの屋根などにパネルを追加するケースなどがこれに該当します。
太陽光発電の増設を行うことで得られるメリットとしては、維持管理費はほとんど変わらずに発電量を増やすことができることから、従来よりも高い売電収入を得られることなどが挙げられます。また、太陽光発電を設置する際に太陽光パネルの容量をパワーコンディショナーの定格容量よりも多く設定することを「過積載」と呼びます。過積載はパワーコンディショナーがフル稼働している時間を増やし、発電量を効率的に上げられるというメリットがあります。
増設の方法によっては過積載となってしまうケースも多く、導入方法を誤ってしまうことで売電価格が現在よりも下回ってしまったり、ペナルティを受けたりする場合もあるため注意が必要です。
太陽光発電システムを増設するときの注意点
太陽光発電システムを増設する場合には、以下の点に気をつけましょう。
固定価格買取制度の適用について
太陽光発電システムを増設したからといって、その時点での固定価格買取制度が新たに適用されるというわけではありません。また、売電期間についても新たに延長されることはなく、既存の太陽光パネルで最初に売電を開始した時点から10kW未満の場合は10年間、10kW以上の場合には20年間という期間が適用されます。
保証対象から外れる場合も
既存の太陽光発電システムとは異なるメーカーのパネルを追加したり、異なる業者に依頼してパネルを増設したりすると、既存分の保証対象外となる可能性があります。故障が疑われる不具合が発生した場合も修理や点検などのサポートを受けられなくなるリスクもあるため注意が必要です。
売電価格が下がってしまう場合も
増設の方法によっては売電価格が現在よりも下がってしまうケースがあることにも気を付けておきましょう。具体的には、①元々10kW未満の太陽光発電システムを設置していて、増設によって出力が10kWを超えてしまう場合、②元々10kW以上の太陽光発電システムを設置していて、認定出力が0.1kWでも上がってしまう場合、③10kW以上の設備で3kW未満、もしくは3%未満の範囲を超える増設を行った場合などがこれに該当します。
特に増設後の太陽光パネルの出力がパワーコンディショナーの出力を上回る「過積載」のケースでは注意しましょう。
増設すると買取価格や買取期間はどうなる?
増設による買取価格は、太陽光発電を設置した時期が固定価格買取制度(FIT)の開始以前が開始後かによっても条件が異なります。ここでは、固定価格買取制度が適用されている方が増設をする場合、それぞれのケースにおける買取価格と買取期間について詳しく見ていきましょう。
増設後の設置容量が10kW未満の場合
ソーラーパネルの増設を行った後も容量が10kW未満の場合には、平成23年1月時点での住宅用10kW未満の買取価格である『48円(税込)/kWh』が適用され、買取期間も10年間になります。
増設で設置容量が10kW未満から10kW以上になる場合
ソーラーパネルの増設によってもともと10kW未満だった容量が10kW以上になる場合は、当初契約の共有開始時点から20年間に買い取り期間が延長されます。ただし、買取方法は余剰買取のみで、全量買い取りにはならなりません。また、買取価格についてはそれまでの買取価格から変更され、新たに申請した時点での買取価格が適用されます。
増設前の設置容量が10kW以上の場合
もともと10kW以上の太陽光発電を設置している場合は、増設によって認定出力が0.1kWでも上がってしまうと、その増設分だけでなく既存分も変更時点の買取価格が適用されるます。つまり、既存分の売電価格が下がることになります。また、買取期間は20年のまま延長されることはなく、当初の設置時に設定された期間で終了します。
太陽光発電に関するさまざまな法律は年々厳しくなる傾向があります。太陽光発電の増設は上記の内容を参考にして適切な方法で行えば、費用対効果の高い設備投資となる可能性があります。反対に、導入方法を誤れば売電価格が少なくなってしまったり、ペナルティの対象となったりする可能性もあるため注意が必要です。メリットだけでなくリスクも正しく理解した上で、導入を検討してみましょう。