地震、暴風雨などの自然災害はいつやってくるかわからないだけでなく、停電などの被害をもたらします。特に冬は、大雪により停電が引き起こされることも……。ただでさえ寒い時期に停電してしまうと、電気を使う暖房器具はまったく使えず、防寒対策が重要となります。こういったとき、どのようにして寒さをしのげばよいのでしょうか。この記事で、冬の停電時に気を付けたいことについて解説します。
冬に停電が発生するとどうなる?
冬に停電が発生した場合、まず考えなければならないのが防寒対策です。
2018年9月、北海道胆振(いぶり)地方で大きな地震が発生し、それにより電力の供給系統が崩壊するブラックアウト、全域停電が起きました。9月だからまだよかったものの、この地震が真冬に起きていたとしたら…。
北海道の真冬の寒さが厳しいことは、あらためて解説するまでもないでしょう。地域によっては最高気温がマイナスという日もありますし、最低気温に至ってはマイナス2ケタを記録することも珍しくはありません。北海道では冬の間、基本的に暖房器具をつけっぱなしにしておくことも多いようです。
そんな北海道において、厳寒期に全域停電が起きたとしたら、被害はさらに大きくなることが予想されます。季節を問わず、停電はいつ起きるかわかりません。北海道に住んでいるか否かに関わらず、寒さが厳しい冬の停電対策は考えておくようにしましょう。
冬の停電時の防寒対策
暖房に電化製品を使用することが増えている昨今、冬の停電時にどう防寒対策をするかは重要です。エアコン、電気ヒーター、コタツ、床暖房は使えなくなりますから、電気を使わない暖房器具や防寒グッズが必要不可欠。どういったものがあるか、見ていきましょう。
部屋全体を暖かくする暖房器具の筆頭に挙げられるのが、石油ストーブです。燃料が石油だけなので、停電になっても問題なく使うことができます。ただし、石油ファンヒーターのように、電気を併用するものは使用できないので、気をつけてください。
部屋全体を暖められない場合は、体を暖かくする対策が必要です。
お湯が沸かせるようであれば、湯たんぽを使いましょう。湯たんぽは、直接肌に触れないようにバスタオルなどでくるみ、毛布などをかぶせて使用します。直接肌に触れると低温火傷をする恐れがありますし、寒いところに置きっぱなしにすると、あっという間に冷めてしまうからです。
水を入れたやかんを乗せられるタイプのガスストーブや石油ストーブがあれば、お湯がわかせます。そのお湯で湯たんぽをつくったり温かい飲み物をつくったりすることができるので便利です。
何もグッズがない場合は、手持ちの衣類や毛布で対処しましょう。
肌着、セーターなど保温性の高い衣類を重ね着し、防寒ジャケットやマフラー、ネックウォーマー、手袋、毛糸の帽子なども活用するとよいでしょう。また、足元はタイツやレギンス、厚手のソックス、ルームシューズなど、やはり何枚か重ね履きして寒さを防ぎましょう。冷えは足元からやってくるので、念入りにしたいところです。寒さで命を奪われることもありますから「カッコ悪い」などとは言っている場合ではありません。
さらに、毛布やブランケットで体を覆えば、ある程度、寒さをしのぐことは可能です。停電が復旧するまで、頑張って乗り切りましょう。
冷蔵庫の停電対策はどうする?
夏とは違い、気温が低い冬の場合、冷蔵庫はあまり停電の影響を受けずにすみます。冷蔵庫の上段に保冷剤を置き、できるだけ開閉を控えるようにしましょう。停電した場合、通常でも2~3時間は冷気が保たれるといわれていますから、きちんと対策をすれば、ある程度の時間は問題ないといえます。
冷凍庫は、物がたくさん詰めてあるほうが、保冷効果が持続するので、特に使うことがなくても保冷剤を備えておくと、いざというときに役立つはずです。
冬の停電に備えて用意しておきたいもの
冬の停電には、次のようなものが役立ちます。ぜひ用意しておきましょう。
ひとつめは、カセットコンロ(卓上ガスコンロ)です。これさえあれば、どんなときでも調理ができ、温かい食べ物や飲み物がつくれるだけでなく、お湯を沸かせば洗面や湯たんぽにも使えます。
カイロもぜひ用意しておきたいもののひとつです。手軽に入手できる使い捨てカイロがよく知られていますが、ベンジンを燃料とするオイル式のカイロ(ハクキンカイロ)もあります。これなら、ひとりにひとつ用意しておけば、ベンジンを切らさない限り繰り返し使えて便利です。ただし、可燃性のベンジンを取り扱う上、容器が高温になるなどさまざまな危険もあるため、取り扱いには十分注意しましょう。
また、冷気を遮断するアルミシートも役立ちます。折りたたんでおけば邪魔にならないので、常備しておきましょう。
真冬の停電時も快適に過ごせる「家庭用蓄電池」
真冬でも「家庭用蓄電池」があれば、電気を使う暖房器具が使えます。そうすれば、停電したときでも、いつもと変わらない生活をすることが可能です。家庭用蓄電池を設置することも、対策のひとつとして検討してみてはいかがでしょうか。
冬の停電では、寒さ対策が必須です。電気が止まってしまうと、多くの暖房器具は使えなくなります。寒すぎる環境は、命にも関わることです。そのような想定をしっかりとして、カセットコンロやカイロなどを用意し、手持ちの衣類やグッズで防寒する手立てを考えておきましょう。