近年さまざまな分野で耳にする機会が増えている「AI(人工知能)」。簡単にいえば、コンピュータがデータを分析することによって、記憶、学習、推測、最適化提案、課題定義や解決、学習といった人間の知的能力を模倣する技術のことで、今後私たちの生活のさまざまな場面で幅広く導入されていくことが予想されています。
今回は、この数年で急速に注目を集めるようになった「AI(人工知能)」について、その歴史やメリット・デメリット、活用の事例などを詳しく解説していきます。
AI(人工知能)とは
「AI」というのは、「人工知能」を意味する英語「Artificial Intelligence」の略称のことです。ここ数年で耳にする機会が増えましたが、「AIという言葉は知っているけれど今ひとつ正しい意味が分かっていない」という方も多いでしょう。なぜなら、AIというのは研究者や専門家の間でもその解釈がさまざまに分かれていて、AIという言葉が広く浸透した現在においても未だに定義が統一されていないからです。
では、具体的に国内の研究者による定義にはどのようなものがあるのか、主なものとして以下の5つをご紹介します。
- 人工的につくられた知的な振る舞いをするもの(システム)
- 人工的につくられた人間のような知能、ないしはそれをつくる技術
- 人間の頭脳活動を極限までシミュレートするシステム
- 「知能を持つメカ」ないしは「心を持つメカ」
- 人工的につくる新しい知能の世界
つまり、これらの定義を分かりやすくまとめると、「記憶や学習、推測や判断といった人間の脳が処理できることをコンピュータに行わせる技術」といえるでしょう。
また、AIと呼ばれるものには一般的に以下の2つの特徴が備わっていると考えられています。
- 自立性/人が指示することなく自動的に作業を行う能力
- 適応性/経験や学習によってパフォーマンスを向上させる能力
AIの歴史
1956年にアメリカのニューハンプシャーで開催された「ダートマス会議」で、発起人の一人であるジョン・マッカーシーによって初めて提唱された「AI」。その歴史は大きく「第一次AIブーム」、「第二次AIブーム」、「第三次AIブーム」に分けることができます。それぞれを詳しく見ていきましょう。
第一次AIブーム
1950年代後半〜1960年代に訪れた第一次AIブームでは、コンピュータに推論と探索をさせることによって問題を解決するという研究が進んでいました。これにより、コンピュータが難しいパズルを解いたり迷路を脱出したりすることができるようになり、人々の注目を集めました。とはいえ、実際にはこの時点ではまだAIはただのプログラムでしかなく、事前に設定したことしかできませんでした。
第二次AIブーム
1980年代になると再びAIブームがやってきます。その引き金となったのが、専門家の知識を蓄積することで、誰でも専門家同様の課題解決を可能にする「エキスパートシステム」の開発・導入です。しかし、このシステムの構築には大量の知識の定義づけが必要で、莫大なコストと時間がかかるこがネックとなり、第二次AIブームは次第にその熱が冷めていきました。
第三次AIブーム
そして現在、ディープラーニング技術の発展やビッグデータが普及したことで第三次AIブームが起こっています。AIにデータを与えるだけで自動的に学習していくことができるようになり、今後のAIの発展に期待が集まっています。
AI活用のメリット・デメリット
技術の発達に伴い、AI市場は今後もますます拡大していくことが予想されていますが、実際にAIを活用することによってどのようなメリットを得ることができるのでしょうか。デメリットと併せて詳しく見ていきましょう。
AI活用のメリット
労働負担の軽減
AIが普及することで、これまで人間が行ってきた仕事を機械に任せることができるようになります。特に、「きつい、汚い、危険」といったいわゆる「3K」と呼ばれる仕事でAIを導入することによって、労働負担の軽減が期待されています。
生産性向上
細かい作業や正確性を求められる業務にAIを導入することで、ヒューマンエラーを減らして生産性を大幅に向上することができます。機械と人間との仕事を完全に分けることで、企業にとっては新たなビジネス展開の余力が生まれることも。
大量のデータ処理・活用
AIが特に得意とする分野が、大量のデータ処理・活用です。さまざまなデータを集計・解析することによって、市場の予測や顧客データの分析などにも生かすことができるでしょう。
AI活用のデメリット
人の雇用が奪われる
AIを導入することで労働負担を軽減できるというメリットがある一方で、ロボットに人の雇用が奪われてしまうというリスクがあるのも事実です。特にドライバー業や工事関連業といった技術職については、将来的に雇用が減少するといわれています。
正しく学習させる必要がある
AIを活用するためには当然のことながら正しく学習させる必要があります。そのためにビッグデータを扱うことになれば、導入時に多大な手間やコストがかかるというデメリットがあります。
セキュリティリスクの危惧
AIは基本的にネットワークを通じてさまざまな情報を扱うため、外部からのハッキングや情報漏洩などのセキュリティ面でのリスクが常について回るというのもデメリットのひとつといえるでしょう。
AIの活用事例
現在のAIができることは主に、膨大な画像データの中から特徴を抽出・学習して写真を分類する「画像認識」、人の言葉を分類する「音声認識」、これらを活用した「AI家電」などがあります。また、リチウムイオン蓄電池システム「SmartStarL(スマートスターエル)』にもAI機能(※)が付いています。
※伊藤忠商事100%子会社のGrid Share Japanが展開するAIサービスとなります。
公式HP:https://www.gridshare.co.jp/
AI(人工知能)は今後、さまざまな業種で導入が進んでいくことが予想されています。それによって私たちの生活も大きく変化していくため、まずはその特徴をきちんと理解しておくことが大切です。